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音楽でブランドを作ろう!

  • 執筆者の写真: 七夕女織(たなばた・めおり) TANABATA SOUND
    七夕女織(たなばた・めおり) TANABATA SOUND
  • 2025年11月26日
  • 読了時間: 16分
音楽でブランドを作ろう
音楽でブランドを作ろう!

あなたの音楽作品こそがアーティストブランディングの基盤となります。アーティストブランディングとは、アーティストの独自性や個性を確立し、ファンや業界関係者から「このアーティストらしさ」と認識されるための戦略的な活動です。単に作品を制作・発表するだけでなく、アーティストの個性、作品の背景、ビジュアルイメージ、発信内容などを一貫性のある形で構築し、他のアーティストとの差別化を図ることです。


「えっ!企業戦略ぽくない?音楽は芸術なんだけど…」


おっしゃりる意味はわかります。基本的にアーティストやクリエイターは個人の内なる創造を営むことに焦点を当てています。感情の動き、自然の風景、大宇宙の叡智のようなものを作品化されているピュアな音楽家であればあるほど「戦略的」と言う言葉から身を引きたくなるでしょう。


そんな「癒しの音楽家」さんの為に、自己分析しながら、自分をブランド化する方法を紹介させて頂きます。


何故なら、あなたの音楽こそが、あなたの核となる製品であり、最も真実の表現方法である音楽は、あなたを定義づける感情なスタイルを秘めており、それがビジュアル、プロフィール、グッズなど、あらゆるものにブランドとして浸透していくからです。



基本情報の分析からスタート

アーティストブランディングは、あなたの作品、スタイル、価値観、ストーリーを通じて信頼され、視聴者とのつながりを構築します。特に音楽作品にはアイデンティティが凝縮されていますので、過去の日記を読み返すように、ご自身の特徴を分析してみましょう。お好きな方法でメモを残しながら、以下5つの質問に答えてください。


  1. ジャンル:

    あなたの音楽作品が属するジャンルは何だと思いますか?分類するのが難しい場合は、主要なジャンルと二次的なジャンルを選択するか、2~3 つの組み合わせを選択してください。


  2. 影響を受けたアーティスト:

    どのアーティストからインスピレーションを受けましたか?あなたのサウンドに近いアーティストは誰ですか?


  3. 雰囲気:

    あなたの音楽は特定の雰囲気やムードを呼び起こす傾向がありますか?例えば睡眠に誘うとか、リフレッシュできるなどです。それらは強みとして活かすことができます。


  4. テーマ:

    あなたの音楽に繰り返し現れるテーマは何ですか?切なさ、優しさ、気持ちよさ、シンプルに答えてください。


  5. 音楽的効果:

    あなたの音楽がリスナーに与える影響を想像してみてください。あなたの音楽を聴いて、リスナーはどんな行動をとると思いますか?例えば「落ち着いて日記が書ける」「静かに瞑想できる」などです。


これらの質問についてじっくり考えた後、自分の音楽について数フレーズの文章で説明するようにまとめましょう。



ストーリーを伝える

すべての物語には、何を、誰が、そしてなぜ作るのかという要素が必要です。

あなたがどんな音楽を創造するか定義した後は、自分が何者なのかを探る番です。


このステップは、あなたと共感して、音楽に深い意味を与えた経験、信念、そして個性を明らかにさせるのに役立ちます。リスナーにあなたの芸術の背景にある文脈を提供することで、より深く作品と繋がることができるのです。


次のような質問について考えてみましょう。


  • あなたの経歴を振り返ってみましょう。

  • あなたが音楽に興味を持ったきっかけは何ですか?

  • 音楽の創作にはどのように取り組んでいますか?プロセス、楽器や声との関係などについて教えてください。

  • あなたが作曲を始めたきっかけは何ですか?

  • あなたのアプローチのユニークな点は何ですか?

  • あなたの音楽の旅路を形作った人々、場所、経験についてまとめましょう。


ストーリーを伝えることの目標は、ファンに音楽を作っている人物をより明確に理解してもらうことです。アーティストとしてのあなたのコアバリューとメッセージを定義することで、あなたの音楽(「何」)とあなた自身(「誰」)について説明します。



次は「なぜ」を考える必要があります。少し時間を取って、音楽から少し距離を置き、全体像を考えてみましょう。


  • あなたの音楽はあなたの人生にどのように位置づけられているのか?

  • 何を伝えようとしているのか?

  • ファンのためにどんな世界を創り出そうとしているのか?


これらの質問は、あなたのコアバリューとメッセージを作り上げる指針となるでしょう。コアバリューの役割りとは、ミュージシャンとして何を大切にしたいかを明確にし、音楽活動や個人的なライフスタイルの選択における指針を示せることです。またコアバリューの目的は、あなたが重要だと考える価値観を言葉で表現することで、理想のキャリアや人間関係を見つける手助けとなります。 


次の点を考慮してください。


  • あなたの音楽は何を意味し、表現していますか?

  • あなたの音楽の背後にある、ファンの共感を呼ぶような個人的なストーリーは何ですか?



アーティストのブランドステートメントとは

これまで、何(あなたの音楽)、誰(あなたのストーリー)、そしてなぜ(あなたの価値観と目的)を探求してきました。


ここからは、それらをすべて結び付けるフェーズです。


メモを見直し、ブランドステートメントをまとめ始めましょう。ブランドステートメントとは、アーティストとして目指すべき音楽ブランドの方向性や価値観などをまとめたキャッチコピーや理念のようなものです。


ブランドステートメントを表形式でまとめると、アーティストブランドが持つミッション・ビジョン(存在意義や目指す姿)、価値観、提供する価値、アーティストブランドとしての人格、そしてそれらを簡潔に表現したタグライン(アーティストブランドとしてのメッセージ)といった要素で構成されます。


アーティストのブランドステートメント
アーティストのブランドステートメント

アーティストのブランドステートメントは、ビジュアル、プロフィール、ソーシャルメディア、グッズなどを通して、自分自身をどのように表現するかの基盤となり、共有するすべてが真のクリエイティブなアイデンティティと一致することを保証します。


アイデアをまとめるために、まずは1~2フレーズほど書き出すのも良いでしょう。時間をかけて、繰り返し登場するテーマを特定し、それらをいくつかの力強い文章にまとめ上げ、ブランド戦略の指針として常に参照できるようにすることで、内容を洗練させていきます。


信頼できる友人やファンからのフィードバックを集めることは、役に立つかもしれません。あなたのブランド企画を見せずに、あなたの音楽、カバーアート、ソーシャルメディアでの存在感について説明してもらい、それがあなたの考えと一致しているかどうかを確認してみましょう。 


次のような質問をします。


  • 私の音楽はどんな風に語れますか?

  • 私のソーシャルメディアに対する第一印象はどうですか?

  • 私の音楽を聞いて、どんなアーティストを思い出しますか?

  • 私の音楽をどのように知りましたか?


情報が一致しない場合は、必要に応じて微調整を行ってください。驚くような良い結果が得られるかもしれません。



ブランドプレゼンスを評価する

ブランドの基盤、価値観、アイデンティティを文章化した後で、ソーシャルメディアのプロフィール、ウェブサイト、オリジナルグッズ、カバーアートが、それらをどれだけ反映しているかを評価しましょう。


すべてのチャネルをレビューする際には、すべてに一貫性があり、アーティストのブランドイメージに沿っていて、魅力的であるかどうかを検討してください。 


チャンネルを見直し、メモを取り、不足している点や矛盾点があれば、それを補う計画を立てましょう。


例えば、新しいカバーアートがウェブサイトで使用されている色やフォントと異なる場合は、ウェブサイトを更新する計画を立てましょう。


また、アーティストのプロフィールがブランディング活動で得たポイントをすべて網羅していない場合は、修正する計画を立てましょう。


最後に、SNS投稿グリッドはアーティストのブランドを反映させる必要があります。アーティストのブランドイメージに合わない投稿はアーカイブし、ビジュアル、キャプション、メッセージングが統一されていることを確認しましょう。



音楽マーケティングとはオーディエンスを知ること

これまでは、自分自身を知ることに焦点を当ててきました。同様に、共感を呼ぶアーティストブランディングする上で重要なのは、オーディエンスを知ることです。

あなたのファンが誰で、何が彼らの音楽を聴く動機になっているのかを理解できれば、アーティストブランディングのマーケティング方法やファン層のエンゲージメントを積極的にプランニングすることができます。


ファンペルソナを開発するには


ファンペルソナとは、架空サポーターの詳細プロフィールです。ファンペルソナを作成することで、オーディエンスを理解し、マーケティングのターゲットを絞り込み、アーティストのブランドイメージを把握するのに役立ちます。


ストリーミングプラットフォームやソーシャルメディアのアーティストプロフィールから、人口統計情報を収集できます。特に、フォローすべきおすすめのプロフィール、Spotifyの「ファンも気に入っている」セクションに表示されるアーティスト、ラジオのアルゴリズムやプレイリストに表示されるアーティストに注目しましょう。 


次に、日々の生活から現実的な証拠を集めましょう。公演後にCDやグッズ販売のテーブルに誰が来てくれるのか、ソーシャルメディアであなたのコンテンツに継続的に反応してくれる人は誰なのかなどを記録しましょう。 


そして、これらの情報すべてから3~5人のファンペルソナを作成します。それぞれの特徴を総合的に分析することで、アーティストブランディングが現在どのような層に共感されているかを把握し、ネットワーキングの機会、有料マーケティング、グッズデザインなどを検討するのに役立ちます。



エンゲージメントを分析する

ファンがあなたの音楽とどのように聴いてくれているのか、チャネルやコンテンツの種類別に考えてみましょう。


彼らはストリーミングのみを利用しているのでしょうか、それともCDなど、物理的な媒体を購入しているのでしょうか?ソーシャルメディアではどのようなコンテンツが共感を呼んでいるのでしょうか?ファンはあなたのメルマガに登録してくれるでしょうか? 



ファンを惹きつけるものは何なのか?

あなたの音楽にファンを惹きつけるものは何なのでしょうか?

ライブの雰囲気、優しい歌詞、ジャンルの探求、それとも心を揺さぶるサウンドでしょうか?


あなたの強みを特定し、それをアーティストブランディングに反映させて音楽マーケティングの中心に据えましょう。


そして、ファンがあなたの音楽をどのように発見しているかを考えてみましょう。


プレイリスト、出版物のリリース、ソーシャルメディア、メディアなど、どの媒体を通してでしょうか?


主なチャネルを把握することで、オーディエンスに関する貴重なインサイトが得られ、音楽マーケティング費用の最適化につながります。



ムードボードは方向性を整理する

参考資料、ムードボード、事前情報、報道を通じて、協力してくれるチームの方々にアーティストブランドのイメージを伝えましょう。


グラフィックデザイナー、動画制作社、雑誌などのプレス、その他の音楽業界の専門家と協力する場合は、様々な資料を通してブランドを表現する必要があります。クリエイティブな参考資料としてムードボードを用意しておくと、ビジョンを明確に伝える上で大きなメリットが生まれます。


ムードボードとは、ブランドやプロジェクトの「世界観」を視覚的に整理・共有するためのボードです。写真や色、フォント、イラスト、素材などを一枚のボードにまとめることで、抽象的なコンセプトやアイデアを可視化し、関係者間でイメージをすり合わせるのに役立ちます。


Webサイトのデザインや作品企画、広告制作など、多くのクリエイティブ領域で活用でき、ブランディングに欠かせないステップの一つです。感覚だけで進めがちなアートの方向性を、論理的に整理する手段となります。


ムードボードは、ただ単に写真や色を並べるだけではなく、アーティストとしてのブランドやプロジェクトの方向性を視覚的に言語化するための「設計図」です。魅力的で効果の高いムードボードに仕上げるには、5つの基本要素をバランスよく組み込むことが大切です。


ムードボードを構成する5つの要素


  1. 写真・ビジュアルイメージ


写真やビジュアル素材はムードボードの中心です。アーティストの雰囲気やライフスタイル、音楽の世界観を視覚的に伝える役割があります。


  1. カラーパレット


ファッションブランドの場合、印象を決定づける重要な要素がカラーパレットと言われていますが、アーティストブランディングでも色彩は重要です。使用する色の組み合わせにより、柔らかい・エレガント・ポップ・ナチュラルなど、見る人に与える感覚が大きく変わります。コアカラー、アクセントカラーなどをバランスよく構成してカラーパレットを作りましょう。


  1. フォント


フォント選びもアーティストらしさを伝える大切な要素です。例えば、セリフ体ではクラシックな印象を、サンセリフ体は現代的・カジュアルな印象を与えます。アーティストのメッセージと調和するフォントを選ぶことで、ブランディング全体のトーンが整います。


  1. テクスチャやパターンなど


アーティストのリアルな空気感を演出するために、質感や素材感を想起させるテクスチャやパターンを加えることで、より立体的な世界観を伝えられます。音楽性にに関連する素材や背景を取り入れると、アーティストの「触感」を視覚で伝える工夫として有効です。


  1. コンセプトキーワード


ビジュアルだけでは伝わりにくい意図や方向性は、キーワードを用いて補足しましょう。「やさしさ」「ふわふわ感」「エレガント」など、アーティストの価値観やメッセージを言葉で添えることで、ムードボードを見る人との認識のズレを防ぎます。言葉とビジュアル、両方あるからこそ、明確に伝えていけるのです。


ムードボードPINK系
ムードボード海の見える部屋
ムードボード淡色系
ムードボードGREEN系



「上手く伝えられない」は御法度

CDやストリーミングのカバー画像が楽曲のイメージと合わないとか、思っていたものと違うなど、デザイナーと話が噛み合わなくなることは少なくありません。ひとりひとり感性は異なります。有料でありろうと無料であろうと、依頼者側でイメージを伝える努力を怠ってはいけません。


アーティストととしてのブランドとクリエイティブなビジョンを協力者に伝えるために役立つヒントをいくつか紹介します。参考にしてみてください。


  • グラフィックデザイナーへ依頼するとき:

    ブランドのさまざまな側面を捉えるアーティストのムードボードと参照リストを作成します。


  • プレスやエージェントとのミーティング:

    あなたの音楽を輝かせるのに役立つ引用リストを用意してください。


  • 照明、撮影、音響などエンジニア向け参照資料:

    ライブで音響、映写、照明が必要な場合は、ライブの進行や楽器の配置図であるステージプロットを参照できる資料を準備しておきます。



EPK + ソーシャルメディア

まったく知らなかったアーティストの存在を知ったきっかけは何でしたか?

おそらくYouTube動画やTikTokなどのショート動画、Spotifyなどのストリーミング、またはGoogleネット検索で、たまたま見つけたと思います。このように現在ではオンラインを意識するの音楽活動は不可欠です。


そこで大切なのがEPKと言われる「Electronic Press Kit」です。

ミュージシャンなどがメディア、プロモーター、ブッカーなどに提供する、アーティストやプロジェクトに関する情報をまとめたデジタル・プレス・キットのことです。従来の物理的なプレス・キットのデジタル版で、アーティストのプロフィール、音楽、高画質写真、動画、SNSリンクなどを簡潔にまとめたものです。


通常、宣伝やライブの獲得、契約交渉などに利用されますが、EPKを用意することで、アーティストとしてのブランドの整合性の確認に使用できます。


ウェブサイトやソーシャルメディアの投稿内容に違和感があるときなど、編集や更新が必要なのか部分の項目を特定します。一般的な項目としては、画像、色、タイポグラフィ、トーン、コンテンツなどが挙げられます。 


EPKに含まれる一般的な情報


  • アーティスト・バイオグラフィー: アーティストの経歴やストーリー

  • 音楽と動画: 代表曲のリンクやミュージックビデオ

  • 高画質写真: プロモ用の写真やアルバムアート

  • ソーシャルメディア・ストリーミングのリンク: 公式SNSや主要な音楽プラットフォームへのリンク

  • 連絡先情報: マネージャーや担当者の連絡先

  • プレス・レビュー: 過去のメディア掲載記事など 


EPKの目的とメリット


  • プロモーション: 新しいリリースやツアーの情報を効果的に伝える

  • ブランド構築: アーティストのブランディングを明確に示す

  • 情報提供: メディアや業界関係者が必要な情報を一度に提供し、手配の手間を省く

  • ギグ獲得: ライブハウスやフェスティバルへのブッキングを促す 


EPKの形式

  • アーティストのウェブサイト内の一つのページ

  • 独立したEPK用のウェブサイトやページ

  • ダウンロード可能なPDFファイル 



君の音楽ブランドを世界に放つとき

統計では、ほとんどのミュージシャンが音楽マーケティングもアーティストブランディングも考慮に入れないで活動されています。あなたは素晴らしい作品を創り、感動を呼ぶ音楽を奏でる、魅力あるアーティストなのです。この記事を書いている私を含めて、音楽をやり続けるために誰かに見つけてもらいたいと願うヒーリングミュージシャンは多いと思います。


テクノロジーが発達して、音楽配信が身近になった今、一億総セルフプロデュースの時代です。


音楽ジャンルや雰囲気を分析してストーリーを作成しながら、アーティストとしてのブランドステートメントを作ってみましょう。オーディエンスを分析することでファンのペルソナを描いてください、それは音楽マーケティングに繋がります。ビジュアルを用いてアーティストブランディングのイメージを伝えるムードボードは、音楽市場に流通させる前の基礎となります。ムードボードを元にEPK(電子版プレスキット)を形作り、常にアーティストブランディングの軸とブレていないか確認しながら、あなたの音楽ブランドを世界に放ってください。


次の点がEPKと統一されているかチェックしましょう。


  • ソーシャルメディア:特にリリース直前は、投稿に一貫性を持たせるようにしましょう。単一の(または一貫性のある)撮影から投稿し、投稿の色や雰囲気をカバーアートと調和させ、プロフィールに最新のリンクや情報を反映させましょう。


  • ウェブサイト: サイト全体のフォントが一致していること、アーティスト情報が最新であることを確認します。


  • ストリーミングプロフィール: ストリーミングプロフィールのベストプラクティスを参考に、バイオグラフィー、写真、リンクがプラットフォーム間ですべて同じであることを確認します。 


  • グッズ: グッズのサムネイルがすべて統一され、グッズのデザインがアーティストのブランド感と一致していることを確認します。



いかがでしたでしょうか?専門的なマーケティング用語が多くて、少し戸惑ってしまいましたか?最初は難しいと思いますが、毎日の小さな積み重ねが財産になります。


アーティストブランディングのノウハウは、お店、企業、サロン、教室、あらゆる芸術家のブランディングにも応用できますので、この記事を何度も読み返してコツを掴んでいただけましたら幸いです。


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